Jessica

Jessicaは一般には女性の名前ですが、今回の場合はアメリカの女優さんでも、某F1ドライバーの恋人のモデルさんのお名前でもありません。そのあたりのお名前をお探しの方は、よそ様を当たってくださいまし＾＾；。本日の「Jessica」は、オールマン・ブラザーズ・バンドのインストルメンタルの名曲のタイトルなのでございます。

イントロのアコースティック・ギターから始まって、テーマ、ピアノのソロ、ギターのソロという流れで淀みなく転がり続けるイマジネーションが素晴らしい曲です。スタジオ録音ですが、たぶん一発録りで、かなりライブに近い作り方なのではないかと思います。

某動画サイトで見ることのできる、この曲のコンサートライブだと、少し様子が違ってきます＾＾；。最初のうちテーマを演奏しているあいだぐらいは、テンポが安定しないと言うかプレイヤーそれぞれのノリが少しずつズレているように聞こえます。この辺がこのバンドらしいと言えば言えるところ＾＾；。ところがピアノのソロに入ると、これがピタリと安定し、少しずつ熱を帯びてきてギターのソロに突入する頃には、いよいよ白熱の演奏となります＾＾。この辺の呼吸がホントに見事でかっこいいのですよ＾＾。

このライブは、どうやら後年のもののようですが、バンドのルーツになったデュアン・オールマンというギタリストは、バンドが成功を掴みかけた頃にバイクの事故で他界してしまっています。従って「ブラザーズ・バンド」であった期間は足かけ３年にも満たないあいだでした。満24歳没。25歳の誕生日を３週間後に控えた事故でした。

音楽家の交通事故死というのはけっこう多くて、特にアメリカの場合は飛行機による移動も多いので、航空機事故で亡くなっているミュージシャンは何人かあります。自動車に限れば、たとえばジャズピアニストのビル・エヴァンスの最高の相棒と言えるだろうベーシストのスコット・ラファロ。この人もわずか25歳で自動車事故死。エヴァンス・トリオがいよいよこれからという時期の出来事でした。

クラシックの分野で思い出すのは、ホルン奏者のデニス・ブレイン。この人も自動車の事故で亡くなっています。恐らく亡くなってしまったあとの歳月も含め、オールタイムで史上ベストワンであろうと思われるホルン吹きでしょう。録音は古くなったけれど、残された録音で聴ける彼の演奏は、音色の輝かしさと柔らかさの見事なバランスや、フレージングの滑らかさなどが聴ける素晴らしいものです。

残された音楽を聴けるということは、我々にとって幸せなことではあるけれど、彼らがさらになし得たかもしれない音楽の高みが、失われて戻ってこないことも確かです。本当に残念なことではあります。

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