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丸谷さんのことをもう少しだけ [本]

本当は今日の日付では別の記事を書くはずだったんですが、私の気分としてはちょっとそぐわなくなってしまったので、丸谷才一さんの本のことを少しだけ。ただ、私は小説については真面目な読者とは言えないので、評論やエッセイのことになりますが。

丸谷さんの日本語についての本は、大変楽しく読んだ記憶があります。特に大野晋さんの説に対する所見などは興味深かったですね。あと、このおふたりでは「源氏物語」についての対談の本がありました。何しろ「源氏」の中身については私の頭の中にはほとんど入っていないのに、おふたりの対話を聞いていて(ホントは読んでるのだけれど)、源氏物語の様子が掴めていく気がしたものです。ちゃんと自分で読まなきゃいけないんだけどね。

それからジェイムズ・ジョイスについては、エッセイなどで繰り返し書かれていて、私はよせばいいのに「ダブリン市民」を読み始めてみたことがあります。面白いと感じることはあまりできませんでしたが^^;。私の読解力では追いつけない^^;。それとかなり以前の翻訳のお仕事で「ボートの三人男」があるのですが、この作品は肩の凝らない、しかしとても上質な読み物で、私は大いに楽しめたのでした。

そして数多くのエッセイ。くだけた感じのエッセイは、ずっと連載をしていらした関係でほぼ定期的に刊行されていて、これが出てくるのが楽しみでした。少し硬めのエッセイも、たとえば「袖のボタン」のように得意の土俵の上を縦横に巡る風情が楽しめました。しかもこの方の場合は得意の土俵をいくつも持っていましたし。

それから旧仮名遣いのこと。ご自分の作品に関しては仮名遣いを旧のままにしておく、というのはやはりある種の見識なのだろうと思います。エッセイを読んでいると特に感じますが、文体に合っている仮名遣いなのだな、と思います。語り口と文字の表す形とが合っていると感じられるのです。

旧仮名遣いと言えばもうひとり思い出すのは内田百閒さんですが、この方の文庫で新しく出た物は新仮名に直されてしまって、なんだかそぐわない気がします。願わくば丸谷さんの作品群は、お亡くなりなったあとでも旧仮名のままであって欲しいものだと。そう思っております^^。亡くなってみて、やはり大きな特別な個性だったのだとしみじみ思えてくるのでございます。
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