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Harold Land [音楽]

続けてきた「この1曲」シリーズですが、同じアーティストの曲は1曲しか取り上げない、という制約を自ら課しておりまして、どのアーティストについても登場は一度限り1曲ずつ、と決めてきました。多少の抜け道はありまして、所属したバンドが変わっていくのに従って、その代表曲を記事にしたりもしています^^;。前回の曲からの何らかの関連のある、という縛りも設けてしまっていますから、苦し紛れにやるんですが^^;。

しかしここで同じバンドに二度目の登場をして貰わざるを得ない事態が生じましたので、ついに自ら掟をやぶることにいたします。イギリスのプログレッシブ・ロックのバンドとして知られるイエスのベーシストとして、1968年の結成以来今日に至るまで、終始一貫メンバーに名を連ねてきたクリス・スクワイアが先日亡くなったから。6月27日のことであるそうです。イエスは「この1曲」シリーズのかなり初期に登場してるんですけどね。2曲目がこんな形でなんて、思ってもいなかった。

メンバーチェンジを繰り返したイエスの歴史の中でも、クリスは一度たりともメンバーから外れたことがありません。「バンド存続の権利」、もっとありていに言えば「所有権」を保有していたのは、クリス・スクワイアでした。彼が属しているバンドが(そう宣言さえすれば)イエスというバンドであったわけです。

もちろんイエスというバンドを考える時、最も重要だろうと思われる構成者はボーカルのジョン・アンダーソンでしょう。彼の声が聴けないイエスは、残念ながらやはりどこかが「ちょっと違う」と思います。ただ、ジョンは一時的にではありますが、脱退していた時期がありますし、そして2000年代の半ば頃からは、イエスから離れてしまっています。まぁクリス・スクワイアのベースの音色が聴けないイエスも、たぶん少し違うかなぁとも思うけど。

結局のところイエスそのものを維持しているのはクリス・スクワイアであると定義しなくてはいけません。いろいろな経緯があって、ジョンがイエスから距離を置かざるを得ないのも、クリスのせいなのだと悪く言われているケースもあるようです。確かにある時期からは、このふたりのあいだには溝があるのだと思わずにはいられないのですが。

クリス・スクワイアのベーシストとしての魅力は、音色やテクニック、そしてリズム感などいろいろな要素があります。かなりの長身で、愛用していたリッケンバッカーが、コンパクトに見えるほどであったのも印象に残ります。音色の独特なコントロールは、例えばグレッグ・レイクも似ていますが、トーンのハイとロウを最大にし、ミッドを最小にするというものです。低音感を残しつつ、アタック音が最大限に鳴っている感じ。リッケンバッカーそのものの音色とも相まって大変個性的です。

90年代だったかと思いますが、イギリスの某ラジオ局がロック・ミュージシャンのオール・タイム人気投票を行ったことがあります。ボーカル、ギター、ベース、ドラムのそれぞれの1位が、ジョン・ボーナムの死去によって解散してしまったレッド・ツェッペリンのメンバーという結果となって、史上レッド・ツェッペリンが究極のバンドでぁったというオチが付きました^^;。この時にベース部門の2位だったのが、クリス・スクワイアであったそうです。

イギリスでは大変人気のあったミュージシャンであったわけですが、そのほとんどの活動はイエスにおいてのものでした。本格的なソロ・アルバムは1枚きり、ほかに時折誘われてのセッション参加やゲストとしてのアルバム参加などはありましたが、事実上イエスに捧げた生涯であったと言えるでしょう。2015年6月27日死去、満67歳没。冥福をお祈りします。どうか安らかに。

さて、取り上げた曲の「Harold Land」はイエスのファースト・アルバム(1969年)の5曲目、アナログ盤で言えばB面の1曲目に収められています。ベースのグリッサンドで開始されるあたりが、この記事の趣旨にはふさわしいかも知れません。まったく同名のHarold Landというジャズのテナーサックス奏者がいますが、どうやら特に関係は無いようです。特定の人物を意識しない、ある種の記号として詞の中に登場している、ということのようです。

イエスのファーストは、コンセプトは感じますが荒削りで完成度も低く、イエスが大好きだという人にしかあまり聴かれてはいないと思います。私としても、イエスの入門アルバムとしてはサードかなと思いますが、それでも1枚目も2枚目も、その若々しい意図とか、ボーカルのコーラスを際だたせようというスタイルとか、のちのイエスの原石があちこちに詰まった作品だと思います。けっこういいですよ^^。
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