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サンサーンスの初期の交響曲 [音楽]

このところ立て続けにサンサーンスの第3交響曲を聴く機会があったので、ここは全部いこうかと思い立って、交響曲の全集CDを入手しました。マルティノンの指揮した盤で、1972年から75年にかけての録音のようです。彼は76年の3月に亡くなっていますから、最晩年の録音と言っていいと思います。

この「全集」というくくり方がなかなかの曲者で、サンサーンスの番号付きの3曲(もちろん第3番はよく知られた「オルガン付き」)と併せて、番号のない2曲(イ長調とヘ長調「ローマ」)も収録されているのです。作曲者にとっての習作と、本当に若いときの作品である1番(18歳になる年の夏の、つまり満ではまだ17歳!の時の作曲)が聴けるという全集です。

サンサーンスの交響曲と言えばほぼ第3番のほかは演奏されていない、というのが実状だと思います。そりゃそうだ、と思うのは第2番までの4曲(ややこしいけど、正確にはそうなります)がほぼ20歳代の前半までに作曲されてしまい、「オルガン付き」だけが60歳の年に作曲されていますからね。飛び抜けて独創的で良くできた曲であることも確かですし。

とは言え本当に少年期の終りから青年期にかけて書かれた4曲も、なかなか面白く聴けます。やはりメンデルスゾーンやシューマンの影響はありますけど、そこから飛躍して「オルガン付き」にまで到達するというのも、やはり大変な才能の持ち主だったんだろうなと思います。

サンサーンスは1835年の生まれですから、チャイコフスキーやドヴォルザークと、おおよそ同じ世代の人と言えます。ビゼーやムソルグスキーやボロディンもだいたい同じ頃の生まれですね。大ざっぱですが^^;。でもって亡くなったのは1921年という長寿でした。80歳近くになった1913年の「春の祭典」の初演時に、聴衆のひとりとしてそこにいたそうです。

で、冒頭のファゴットの最高音域のメロディに舌打ちした、という伝説が残っています。「そんな音を使うんじゃない」と思ったらしいのです^^;。まぁストラヴィンスキーも分かっててわざとそんな音を使ったんでしょうけど。閑話休題。サンサーンスと言う人は、ほぼ前期ロマン派としてスタートして、そのまま近代に近づいてもあまり作風を変えてはいません。

そんな人の初期の交響曲(5曲のうちの4曲までが初期^^;)を聴いていると、交響曲の「古典的形式」から出発した作品群だというのがよく分かります。と同時に、きちんと個性も聴き取ることができるというところが、やはり非凡なんだなと思えます。「オルガン付き」だけに接していると分からない個性、みたいなものも聴けるというのが発見でした。とても面白いなと思いました。


付記:ところでこの作曲家のカナ文字での表記は、サンサーンス、サン=サーンス、サン・サーンスという三通りがなされているようです。「・(中黒)」で繋ぐのは論外だとは思います。「サン」と「サーンス」でひとつの姓を形成しているわけですし。原語表記に入っているハイフンを尊重すれば「=」がいちばんいいのかな。

でもなんとなく座りが良くない感じもあるのですよ、「=」って言うヤツ^^;。元々の日本語とは相性が悪いんですよね。まぁでもこれ以外はまた違った問題点もあるし、しかたのないところでしょうか。本記事は、単に面倒だという理由だけで「サンサーンス」という省略した書き方をしています。この表記もかなり使われている、という確認をしてからやってますけどね^^;。
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