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アンドレ・クリュイタンスのベートーヴェン交響曲全集 [音楽]

私にとっては長年の宿題だった、という感慨もあるCDボックスを、とうとう購入しました。特に大げさなものじゃないのですが、5枚組のベートーヴェンの交響曲全集です。指揮はクリュイタンス、オケはベルリン・フィル。BPOにとっては、初めてのベートーヴェン交響曲全集ということになるのだそうです。当時の常任であったカラヤンではなくてクリュイタンス。録音は1957年の暮れから1960年の3月にかけて6回に亘って行われています。
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何故なのかは分かりませんが、とにかく就任して3年めだったカラヤンを差し置いて、クリュイタンスとの全集録音に踏み切ったわけで、「謎」扱いする人も見かけたことがあります^^;。以前に聞いた話なんですが、当時のEMIは戦前の名残で、社内は3か国(イギリス、ドイツ、フランス)に分かれていて、それぞれの録音チームが制作を行っていたのだそうです。定期に客演したクリュイタンスに好印象を持ったBPO側の希望で、この全集が録音されたとのこと。

クリュイタンスは、厳密にはEMIフランスの所属であったために、EMIドイツは返礼としてシューリヒトをEMIフランスに「貸し出し」て、パリ音楽院管弦楽団とのベートーヴェン交響曲全集が完成された、というのがその「聞いた話」の全貌ですが、私はかなり信じていい話だと思っています。まぁレコード会社の「話題作り」だった可能性も否定はできませんが^^;。

私は以前にクリュイタンスとBPOの組み合わせで、5番のCDを聴いていたので、いずれの日にかこの人の全集は手に入れようと思ってました。思ってても何年もかかるのは毎度のことですが、ふとある日新品を安く見かけたので、かなり衝動的にポチったのでした。

全体の演奏の長所としては、やはりBPOの音が魅力があることと、思い入れ過ぎないある種の爽やかさのある音楽づくりかな思います。また時として5番の第4楽章の開始からアッチェレランドをかけて、次第に速くなっていくというような表現もあります。あんまり聴かない表現のような気がしますね。全体としてはピリオド奏法による演奏の洗礼を受けた現代では、「時代遅れ」の演奏なのかも知れませんが、これはこれで魅力のある演奏だなと思いました。いいお買い物でした^^。

追記:書いたあと少し思い出したことを。カラヤンは1951年から1955年にかけて、フィルハーモニア管とベートーヴェン全集を作ってますね。この間54年にフルトヴェングラーが亡くなって、カラヤンはBPOにやって来ることになりますが。結局EMIとしては「カラヤンはこないだ作ったばかりだし」という意識もあったのかも。ちなみにEMIイギリスでの制作だったと思います。

カラヤンのこの全集と昨日書いたシューリヒトの全集は、どちらもちらりほらりと聴く機会もあり、かなり好きな部類の演奏だなと思ってます。いずれどっちも手を出してしまいそうな気がしています^^;。

2021年の追記:けっこうこの記事をご覧にいらっしゃる方もおいでのようなので、「以前に聞いた話」についての補足と言うか釈明と言うか^^;。

すぐにソースを示せと言われると困りますが、この「EMIが三か国に分かれて制作を行っていた」「クリュイタンスとシューリヒトの貸し借り」と言った話は、確かもうだいぶ以前にRGという雑誌誌上で読んだものです。この雑誌でコラムを担当していたMさんという評論家の方が書いていたことで、この人はヨーロッパの事情に詳しく、楽しい記事をいくつも読んだ記憶があります。

こう書くと「ああ、そう言えばちょっと読んだ記憶があるよ」おっしゃる方が、まぁ10人やそこらは現れるかな、などとも思います^^;。私の書いたことはいわば「孫引き」にあたるわけですが、私の頭の中だけの「与太話」ではありませんよ、ということで書き記しておくことにいたしますね^^。
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