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All Blues [音楽]

マイルス・デイヴィスの数多くある名曲のうちの1曲のタイトルです。オリジナルは1959年の「カインド・オブ・ブルー」という、これまた名アルバムの中の曲としてレコーディングされました。でも今回話題にしたいのは、マイルスのアルバム「My Funny Valentine」の中で演奏されているバージョンについて^^。ライブ・アルバムです。1964年。

もともと「カインド・オブ・ブルー」というアルバムは、全体にゆったりとしたテンポ感に支配された、しかしそのゆったりとしている中に緊張感を孕んだ仕上がりになっています。いわく「モダンジャズ史上の最高傑作アルバム」ですけど、確かにその味わいは特別なもの、という気がします。

このアルバムの中の何曲かは、しばしばマイルスのライブでも演奏されるのですが、テンポは次第に速くなっていき、64年の「My Funny Valentine」が録音された時期ともなると、一瞬違う曲じゃないかと感じられるほどに、速いテンポで演奏されるようになっています。

さて、「All Blues」。このライブでの演奏でいちばん面白いところは、ソロを取っていくときの順番^^;。普通というかたぶんほとんどの場合、ホーンが複数あるコンボではラッパ群がソロを演奏したのちにピアノのソロになります。つまり、この時の編成では、マイルス(トランペット)がまず最初に、そしてテナーサックスのジョージ・コールマンが2番目にソロを取るのが、ごく普通の順序。

ところが、どうしたことかこの「All Blues」では、マイルスのソロのあとジョージがソロを始めない感じがあります^^;。ピアノのハービー・ハンコックが「え、僕なんですか?」という感じで和音をさわりながら、ソロを弾き始めるんですよね。これが徐々に盛り上がるいいソロになるところがさすがハービーです^^。

で、そのあとにジョージのソロになります。このジョージ・コールマンという人は、サックスの巨人コルトレーンが脱退したあと、マイルスのグループに加入して、短いあいだ一緒にプレイしたのち抜けてしまいます。で、マイルスが見つけたのはこれまたサックスの巨人のひとりウェイン・ショーター。と言うわけで、ジョージ・コールマンはちょっと影が薄いと言うか、引き立て役なってしまったという評価もあるようです^^;。でも、私はこの人大好きなんですよね^^。

少しハスキーな音色で、確かにコルトレーンの凄みも、ショーターのイマジネーションも持ち合わせてはいませんけど、味わいのある演奏を残しています。まぁ、確かにちょっと「普通」と言えば普通なところが、マイルスにとってはもの足りなかったのかも^^;。

そういえば、「My Funny Valentine」と同じ日の録音「'Four' & More」でもトランペットのすぐあとがドラムソロ、という曲があります。こういう試みをしていたの時期なのかも知れません。マイルスがジョージ・コールマンをいじめてた、という説もあるみたいですけどね^^;。

というわけで、この64年2月12日のライブを収めた2枚のアルバムは、私にとってはマイルスの最も好きなアルバムになっています。あと、書いたことがすぐに矛盾しますが、彼のアルバムでいちばん最初に買った「マイルス・イン・ベルリン」も大好きですけどね^^;。
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