霧の夜の猫 [猫]
目を醒ますとそこには見慣れない色があった。猫は自分の心に聞いてみたが見たことはないと言う。鼻先には湿り気が忍び寄り風は無い。見上げれば街の灯りは柔らかに光を散らしている。近くの草葉には小さく水の粒が光って見えた。地面もいくらか湿って光っている。空気に匂いは混じっていない。空には月も星も雲も見えない。猫は思う。この夜はいつもと違うけれど悪くはない。困ったことにはならないだろう。私ももう少し眠ることにしよう。するる、すぴる、すぴりらり、ら。眠っていれば夜は明ける。朝の陽が昇ってからまた見てみよう。するるり、すぴるら、すぴりるら、る。る。
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