５年目の６月９日に

６月９日は川上とも子さんが亡くなって５年目に当たる日です。震災の年に亡くなったわけで、「震災から何年」と言ったたぐいの話題が出てくるたびに、彼女が亡くなってからも同じ年月が過ぎていったんだ、と思い起こすことになります。私としては亡くなったことを知ったのが10日でしたから、その日付が忘れられないのですが。

声優さんのお仕事というのは、声でその役を演じることだ、と私としてはそう思っています。だからと言って、いわゆる「演技力」だけをもって声優さんの力量をはかろうとは思いません。唯一無二の声というものは、それだけで大きな力です。役柄に似合う、あるいはある一定のタイプのキャラに似合った声の持ち主、と言うことも重要でしょう。

ですがむしろ川上さんは演技に重きを置く、演じ分けることのできる声優さんであったと思います。思い出せばいろいろな声が耳の奥に聞こえてきます。６月のこの時期、関東は梅雨に入って雲の厚い日々が多くなります。私はこれからも、６月９日そして10日という日付を通って行くたびに、曇り空を見上げながら川上とも子という声優さんを思い出すことになるでしょう。忘れないと思います、ずっと。

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