We Built This City

いろいろなバンドの中には、大きな変化や転変をとげた歴史を有しているものがあります。80年代半ばに「We Built This City」をヒットさせたStarshipもそんなバンドのひとつ、と言うか代表的なバンドかも知れません。なにしろバンドの名前が二度変わり、Starshipは主なものの中でもみっつ目の名称ですからね＾＾；。

まずはJefferson Airplaneとして60年代に活躍しています。この時代にもきっちりヒット曲を持っているところが、いかにもアメリカン・バンドらしいところ＾＾；。メンバー変遷を経ながらJefferson Starshipとなり、さらにオリジナルメンバーの確執と名称の「所有権」などを巡っての争いもあってStarshipとなります。こういうごたごたが起きるところもアメリカのバンドには（まぁイギリスのバンドも）よくあることです＾＾；。

そしてStarshipとしての最初のアルバムの冒頭を飾るのが「We Built This City」です。1985年の８月にアルバムに先行する形でリリースされて全米１位を獲得しています。このバンドの長い歴史の中でも全米のトップとなったのは初めてのことでした。そして２曲目のシングルとして85年12月に出た「Sara」も全米１位を連続して獲得、９月にリリースされていたアルバム「Knee Deep in the Hoopla」は２曲の全米１位ヒットを含むアルバムとなりました。

Starshipのバンドしてのサウンドはいかにも80年代らしい、デジタル・キーボードの音色が前面に出たもので、60年代の面影は微塵も見えません。唯一と言えばダブル・ボーカルの一翼を担ったグレース・スリックの声の質には大きな変化はありませんけれど＾＾；。そのグレースも「とんだり跳ねたりしてられない」とか言うセリフを残して脱退してしまうんですが＾＾；。

80年代のアメリカン・ヒットを集めたアルバムなどにも、しばしば上記の２曲は取り上げられていて、やはり名曲と言っていいと思います。ただしバンドとしての歴史も、この２曲と次のアルバムからの「Nothing's Gonna Stop Us Now」の１位（世界的にはこのバンド最大のヒット）のあとは、急速にヒットを出せなくなってしまいます。のちに再結成なども行われるのですが、長い歴史も1989年に終りがやって来たのでした。

結局のところ、グレース・スリックの歌声が響いている、というのがこのバンドの象徴だったように思います。いかにもアメリカのバンドらしい味と歴史とを持っていました。良くも悪くも、ですけれど＾＾；。

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