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Back to the Beginning [音楽]

さて今回の「この1曲」は「ロックへの回帰」と言うほどに大げさではありませんが、ジャズの系列を離れます。Bill Brufordがソロ名義で1978年に発表した「Back to the Beginning」です。アルバム「Feels Good to Me」の2曲目に収められています。このアルバム、ちょっとややこしいのは基本的にはビル自身のソロ名義で発表されているというところ。

ただし、主要メンバーの4人はまったく変わらないままでBrufordという「バンド名義」に移行して、アルバムを1枚作ります(「One of a Kind」、1979年)。ところが、すぐにギタリストのAllan Holdsworthが抜けてしまうのです。彼は、ビルとはU.K.というバンドでも組んでいて、ふたりでU.K.を抜けて、アルバム2枚で行動を共にするんですけどね。

U.K.は、プログレッシブ・ロックと呼ばれる分野としては、ちょっと遅い時期に現れた「プログレ系バンド」なわけですが、アランのギターとEddie Jobsonのキーボード(とヴァイオリンも弾きました)の音色が大変特徴的で、その上にJohn Wettonのザラりとしたボーカルが乗っている、かなりいい音を作り出したバンドでした。セールスもかなりのものだったと思います。

で、まぁそこから抜けたギターとドラムスがメンバーを集めて作ったアルバムは、むしろロックの色よりもジャズやフュージョンの音に近い、これまた個性的なサウンドのアルバムに仕上がっています。そして2曲目の「Back to the Beginning」がまた、実に一風変わった仕掛けの音になってますね。バンド全体の演奏するサウンドと、ほぼ同じ音量にミックスされたボーカルが左右に大きく振り分けられて聞こえてきます。

ヘッドフォンなどで聴いていると、両サイドから後ろ側に回り込むようして、声が入っているのですよ。ホントは聴いてもらうと一番分かるんですが^^;。このアルバムにボーカルで参加しているAnnette Peacockというお姉さんが、また実に独特の声で歌い回しています。まぁなかなか不思議な曲に仕上がっているのでございます。

このビル・ブルーフォードというドラマーは、以前には「ブラッフォード」という姓の発音が一般的でした。まぁ最初にレコード発売元が、そういう表記にしていたわけですが、どうやらご本人によればブルーフォードまたはブルフォードというのが、いちばん近い「カタカナ」表記になるようです。もちろん日本語のカタカナで英語の表記をすること自体が無理を含んではいますけれど。

で、このビルさんはイエス(Yes)の結成時のメンバーでした。このバンドの初期の5枚のアルバムに加わったあと、脱退して今度はKing Crimsonに一時的に加わり、アルバム「Red」を発表します。このアルバムのあとKing Crimsonはいったん活動を停止、ビルさんは今度はGenesisのライブ・アルバム(Seconds Out)に参加していたりもします。

さらには活動を再開したKing Crimsonで「Discipline (1981)」と「Beat(1982)」という2枚のアルバムを作ることになります。まぁとどのつまりはYes、King Crimson、Genesisという三つのバンドで音源が残る形で活動している、ただひとりのミュージシャンということになるわけです。

残るふたつのプログレの雄、ELPとPink Floydはほぼメンバー固定なわけで、それを考えるとプログレの「5大バンド」のうちの三つに関わるというのも、なかなかな記録の保持者ということになりますね^^。ちなみに「5大バンド」とは、私が勝手にそう思っているだけなんですが、同じ意見の方は多いと思います。

実に面白い活動の軌跡を保持している人であると共に、大変特徴のある音色とスタイルを持ったドラマーであると思います。特にアクセントの外し方と入れ方の個性は、曲によってはそのサウンドを決定してしまうユニークさを聴けます。やはり唯一無二の個性の持ち主の人なのでございますよ^^。
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