SSブログ

マタチッチさんのブルックナー8番 [音楽]

NHK-FMの番組で往年のN響の演奏の録音を流すものがありますが、マタチッチさんのブルックナー8番が放送されていました。オーケストラにとっては、なかなか体力的に厳しい曲なんじゃないかな、と思っているのですが、やはり破綻寸前とは言わないまでも、終楽章もフィナーレ近くあたりはかなり危うい^^;。

人間の体力(まぁこの場合は「演奏耐久力」というか)を測れるメーターを、例えば腕にでも取り付けておいて、各自が自分の目で確認しながら演奏できるのなら、ギリギリで踏み止まるのは可能でしょうけどね。回りくどくて分かりにくい話ですが^^;。途中で少し力をセーブするなんてことができるとかね。

それができないから、ラストが厳しくなっちゃうのでしょうけど。ブルックナーの音楽の厄介なところは(演奏上の話ですが)、ただ音として美しさを築いていくだけだと、ちょっともの足りないというか少し違うな、という感じになるところ。「何か」を信じ続けろ、というつもりは無いのですが、上から降りてくるものが見える時が存在しないと、演奏としてはやはり食い足りないのですよ。

マタチッチさんの指揮でのN響のブルックナーには、それが感じられる瞬間がありました。たとえば終楽章の半ばで、冒頭のファンファーレが戻ってきたあとの2分間ぐらい。本当にブルックナーにしか書けない、音楽の積み重ね・流れ・迸りが炸裂していくところで、確かにオケに乗り移った何かを感じることができました。

演奏直後にブラヴォー混じりで拍手が殺到するのも無理は無いなとも思います。もう少しだけ、一瞬でいいからこらえてから、堰を切ったような喝采が湧き出るのが、本当はかっこいいんだけど^^;。日本の聴衆も、もう少し自己を演出しないとね^^;。最近のブルックナー演奏における、お約束の沈黙のあとに手を叩き始めるのも、「いかにも約束事は守りますよ」みたいで、あんまり感心できないのです。

私が実演で接したことのあるブルックナーは4、5、7、8番ですが、それぞれ個性の違いはあるにせよ、オーケストラの体力の限度というものが見えてくる、という意味ではいずれも大変厳しい曲ばかりですね。終わったあとの楽員の皆さんの表情でうかがえるなと思いました。中では4番が緩徐楽章の響きがやや薄く、休めるところもある感じなんですけど^^;。8番は長い上に最後がまた大変、という点ではいちばんかも知れません。ともかくいい演奏を聴けて良かった、と思える放送でございました^^。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。