SSブログ

冨田勲さんのこと [ひと]

作曲家の冨田勲さんが亡くなった、という報せを聞きました。作曲家として1950年代の中盤からテレビや映画の音楽に深く携わり、70年代に入ってからは初期のシンセサイザー音楽を発展させ、大きな成功を収めた存在でした。1932年のお生まれということで、1930年代生まれのクラッシックの指揮者たちとも同じ世代であったわけです。

NHKの大河ドラマのテーマ作曲は5回を数え、現在のところ最多タイの回数なんだそうです。まぁ70年代までが多かったようですけど。「世界の」という枕詞がついてしまってからは、NHKもあんまり頼めなかった感じでしょうか。個人的には「勝海舟」のテーマが大好きですね^^。ダイナミックに展開して、メロディが高揚していくところが、いかにも歴史が開けていく時代を現していると思います。

アニメ作品では特に手塚プロの作品に多く関わっていますが、「ジャングル大帝」第一期のオープニングは史上に残る大傑作でした。雄大な映像と共に流れる音楽がたいへん印象的です。そしてこの作品では、エンディングの弘田三枝子の歌も冨田さんが担当し、さらに劇中でのミュージカル風のシーンの音楽も冨田さんが書いているのだそうです。大変な作風の広さを発揮していますね。

シンセサイザー時代には、単音しか鳴らないモーグの音を、アナログ録音で何度も重ねる手法で、厚みのある音を作り出しました。私としては「惑星」の中の特に「木星」が大好きです。この「惑星」では、冨田さんが作品の中にストーリーを織り込み、宇宙に飛び出した飛行士が「木星」の中間部のあのメロディの部分で、ついに人類史上初のファースト・コンタクトを果たすというものになっています。

ホルストの作曲した「惑星」には、このストーリーがあるわけじゃ無いのだけど、冨田さんはその中に物語を感じたんだと思います。そしてファースト・コンタクトを果たした直後に、飛行士は宇宙嵐に巻き込まれて、宇宙を彷徨うはめに陥ってしまう、というように物語が続いていきます。トータル・アルバムとしても傑作であると思っています。

お年を召してからも創作は続いていましたが、特に2012年に初演された大作「イーハトーヴ交響曲」では、VOCALOIDの初音ミクを起用する、という手法も取っています。新しいものも柔軟に取り入れていく発想力は、衰えることはありませんでした。初演時の演奏を聴いたときに、ああ、人間の声が大好きな冨田さんが、ミクの声も気に入ってくれたんだな、と思った記憶があります。2016年5月5日、満84歳没。ご冥福をお祈りいたします。どうか安らかに。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。